今回の投稿では、日本の格差社会について投稿していきたいと思います。
そもそも格差社会とは何かを考えた場合Wikipediaでは冒頭以下の様に書かれています。
格差社会(かくさしゃかい)とは、収入や財産によって人間社会の構成員に階層化が生じ、階層間の遷移が困難である状態になっている社会のことである。
このことは社会的地位の変化が困難、社会移動が少なく閉鎖性が強いことを意味している。格差社会は社会問題の一つとして考えられている。
Wikipediaより引用
「絶対的貧困」と「相対的貧困」の違い
格差社会を論じる前に貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」という2つの貧困があります。
①新卒一括採用の弊害
日本の雇用は「バブル崩壊」と共に「終身雇用・年功序列」が徐々に崩壊しました。
しかし、新卒一括採用は未だに大きく見直される機運がありません。
そして「終身雇用・年功序列」が崩壊したと言っても、未だに根強く残っている企業が大企業を中心に多くあります。
失業率の低下や有効求人倍率が高いと言っても、新卒の採用時に正社員になれなかった場合は正社員への門戸は厳しい現実が残っています。
やむなく派遣・バイトなどの非正規雇用者やフリーターとなる訳ですが、正社員との賃金格差はなかなか埋まらず格差社会の弱者になる可能性があります。
②規制緩和による非正規雇用の増加
規制緩和とは、自由競争を制限する産業や事業に対する公的規制を撤廃・緩和してサービスや生産性を向上させることを目的としています。
メリットとしては、「価格低下」により消費者に大きなメリットが生じます。
また雇用者側も自由競争や新規参入により新たなサービスや労働者派遣法の緩和により人件費を安く抑える事が可能となります。
新たな商品開発や合併などによるシナジー効果によって、新たな産業や新たなサービスが出てくるメリットもあります。
好例が、携帯電話会社で「スマートフォン」による「通信以外」の様々な事業展開が挙げられるでしょう。
一方でデメリットとして、規制緩和により「格差」が助長されたとも言えます。
正社員と非正規雇用の所得格差、資産を持つ人と持たない人の恩恵格差や、大企業と中小企業の経営体力による格差が挙げられます。
特に正社員と非正規雇用の所得格差は切実な問題です。
企業側としては、安く人件費を抑えたい訳ですので、「派遣労働者・契約社員」といった雇用者数は今後も増えるでしょう。
データとして、非正規労働者は2000年に26%だったのが、2017年では37.9%と約13%増えています。
そして一度非正規雇用になると、なかなか正社員になる道は閉ざされてしまうのが今の日本における現状でしょう。
2018年4月に政府が「働き方改革」の一環で「同一労働・同一賃金制度」を掲げましたが、それでも非正規雇用者は厳しいと言わざるを得ません。
規制緩和と同時に、「セーフティーネット」もセットで議論されこういった問題が起こり得ることを予想して制度を作るべきですが、そこまでいかない様です。
③貧困家庭に生まれる
正社員と非正規社員の差は、自分たちの子供にまで影響を及ぼします。
子供が生まれた時点で、子供にかけられる教育費に差がついてしまいます。
子供に投じられる資金に差が出てしまうと、子供の開発能力・最終学歴に大きな差が生じてしまいます。
良く問題として挙げられるのは、「奨学金」を払って大学に通う大学生がいますが親の貧困や収入の低さが原因の最たるものでしょう。
また、子供がスポーツでも学業でもその道のプロになれる才能があっても、貧困により十分な教育・指導環境を与えられなかったというケースも出てくるでしょう。
非常にもったいない事です。
貧困家庭に生まれる子供は、総じてフリーター・ニート・派遣社員等に甘んじる事が多いと言うデータもあります。
つまり貧困が親から子へと伝染するわけです。
身近なきっかけ
格差社会の「弱者」となってしまう原因を3つ記載しました。
しかし、それ以外にも社会的弱者となる可能性は私たちの身近にたくさん潜んでいます。
簡単にまとめてみました。
親の介護
医療の発達により、日本の平均寿命は延び続けています。2017年の調査で女性87・26歳、男性81・09歳と過去最長を記録しました。
人生100年時代とも言われています。しかし平均寿命まで健康であるとは限りません。
もし、自分の親が病気や認知症となり子供が面倒を見なくてはいけない場合、介護離職の割合は10万人に上るそうです。
介護離職を経済的に見た場合、自分の収入がなくなるだけではなく自身も年齢を重ね再就職が困難となります。
特に介護は育児に比べて、先が見えません。子供は成長してくれたり自立して親としてのやりがいを感じられる場合もあります。
一方の介護は親が成長してくれるわけでもなく、心身ともに衰えてくるのが一般的です。
おまけに収入がない状態だと肉体的・精神的にも限界がきて親への虐待や事件沙汰になる可能性もあるのです。
もちろん賛否両論あるでしょうが、親の介護を離職してまで続けるのは自身の為にも避けた方がいいと思います。
ブラック企業勤めによるパワハラ・セクハラ
就職先がとんでもないブラック企業ならば、精神的に病んだり、体調を崩し仕事を辞めそのまま引きこもったり、非正規雇用者となる可能性が出てきます。
またブラック企業でなくても、仕事の人間関係によるストレスや上司や同僚からのセクハラで会社を辞めて結果定職につかず引きこもってしまうケースもある得るでしょう。
なので、一度正社員になったから「安心」というわけでは決してありません。
結婚・出産・離婚
女性に多いのですが、結婚・出産を機に仕事を休暇ではなく完全に辞めてしまい、
離婚によりシングルマザーや、子供がいなくてもブランクが長くパートや派遣でしか働けない状態になることも多々あるようです。
女性の社会進出により、M字カーブと言う女性の年齢階級別の労働力を示す落ち込みは少なくなりましたが、これは非正規雇用も含まれていています。
また男性の収入が減っている事も女性も非正規でも働かないと、生計を立てる事が難しいことの現れでしょう。
実際に企業での女性の役員の割合は、日本は先進国で一番悪く4.2%なんだそうです。女性が安心して子育てできる環境には程遠いのが現状の様です。
リストラ
日本は生産性が低い、年功序列・終身雇用が大企業を中心に残っていると言っても、企業の自由化・グローバル化・IT化は止まりません。
業績悪化によるリストラ。左遷・望まない転勤・異動などで会社を辞める機会が出てくるでしょう。
その際に、それまで収入・生活面を会社に依存した形で送っていると一歩会社の外に出た場合非常に苦労するでしょう。
個人として稼ぐ力が身についていなければ年齢が高ければ・高いほど、再就職は厳しいものになります。
転職
「人手不足」というのは、単純作業をやって欲しい人材が「不足」しているのではなく「優秀」な人材が圧倒的に不足していると言い変える事ができます。
そのため安易に転職をしたが、自分が望んだ会社に転職できなかった、余裕がなくなり「ブラック企業」や「派遣」になってしまった。
という事もあり得ます。転職で収入が上がった割合は増えていますが、それでも半数言っていない状況です。
日本の雇用環境はまだまだ硬直的で、今いる正社員を守ろうとする風潮が寝強いですから転職は会社員全員にメリットがあるとは言い難い状況です。
老後破産
社会的弱者になるのは、前述した子供だけではありません。高齢者においても貧困となり社会的弱者となる恐れがあるのです。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の貧困率はひとり親世帯の貧困率が50.8%なのだが高齢者世帯の貧困状態も深刻になりつつあります。
65歳以上の高齢者のいる世帯の貧困率は27.0%に達しており、4世帯に1世帯以上が、現役世代の収入の半分以下の収入で暮らしていることになっています。
しかも、単身世帯での貧困率はさらに深刻で男性単身世帯で36.4%、女性の単身世帯では実に56.2%が貧困層と定義づけられています。
65歳以上の女性の一人暮らしは、2人に1人以上が貧困の状態という計算となっています。
老後での生活が苦しいものとなると、稼ぐための「人的資本」は低下していますから、支出を減らすか生活保護に頼るかどちらかしかありません。
支出を減らすことは難しいため、後者である生活保護を頼る方が圧倒的でしょう。
まとめ
ここまで格差社会の弱者になるきっかけを書いてきました。
言い方は悪いですが、「社会的弱者」になる方法は簡単です。
働かずに、稼ぐ事を諦め、お金を使い続け、心身ともに疲れ切って年月だけ過ごせばいいのです。最悪「ホームレス」となったり犯罪に手を染めたりとなるだけです。
それを個人が望んで行えば、いいのですが多くの人はそれを望んでいない筈です。
そして、社会的弱者になるリスクは、今後誰にでもあり得ます。
今後社会的弱者に陥らないようにするには、
・世の中の変化に対応すること
・学び続ける事
・健康と金融資産に投資し続ける事
これらの要素が必要です。就職しても、結婚してもお金と無縁ではいられません。
資本主義は、世の中の変化に対応でき学び続ける事ができる人には大きな味方となりますが、思考停止状態や他責の念が強い人には味方してくれません。
人生はボケっとしているとあっという間に過ぎてしまいます。現状に強い危機感を持ち日々努力する事が大切です。
✔ 社会的弱者に一度なるとそこから這い上がるのは難しい
✔ 社会的弱者になる可能性は誰にでもあり得る
✔ 社会的弱者にならないためには「稼ぐための努力」を怠らない事が最も重要である
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